診療技術局
診療技術局の運営方針
診療技術局は、医師、看護師、薬剤師以外の医療技術職13職種を統合して設置された組織で11部署から構成され、国家資格を有する300名余りが所属しております。組織は部署間の連携意識を深めるため、11部署を大きく4部門に分け、1検査部門、2放射線・臨床工学部門、3リハビリ・歯科部門、4栄養・相談支援部門にて構成されています(表1)。
診療技術局は下記の事項を基本方針として組織運営を行っております。
- 医療技術職のステータスの向上と病院事業(診療・経営の両面)の質の向上に貢献するため職種の垣根を越え、共通の方針、施策の立案・実施等を推進すること。
- 病院方針の浸透と現場意見のボトムアップおよび医療技術職の横断的意思疎通の促進を図ること。
また、共通の人材育成施策の一環として、スキルラダー等の具体化・明確化を図ること。
局内の組織運営は、代表者会議や全体会議による病院方針の浸透や横断的情報共有の促進、安全部会による医療安全の推進、教育委員会による局員共通の研修会の開催などを柱として運営しております。
組織図(表1)
診療技術局での取り組み
一般向け研修会や勉強会
- 市民健康講座
地域の皆様の病気予防と健康増進を目的に、当院医療従事者による健康講座を年数回おひさまテラスにて開催しています。 - 健康づくり出前講座
当院の医療従事者が地域に出向き、健康の維持や病気予防についてお話をするものです。 - まめ知識講座
当院の医療従事者が外来患者さんとその家族を対象として、病気や健康、医療や介護に関する話題について1回20分程度の講座です。開催場所は本館1階の待合ホールで、月に数回開催しています。 - 高校生職業体験プログラム
地元の高校生を対象に、医師、看護師以外の医療技術職を知って頂くことを目的として、診療技術局と薬剤局が合同で年1回見学体験プログラムを開催しています。
診療技術局内での教育について
診療技術局は多職種で構成されているため、それぞれの職種に応じた教育は各部署において実施することを基本としていますが、局全体としては共通する階層別目標を設定した教育ラダーを作成して横断的な教育を行っています。
医療連携やチーム医療への貢献
- NST(栄養サポートチーム)
メンバーは医師(内科医、歯科医)、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、歯科衛生士、リハビリスタッフの多職種で構成され、入院患者さんで栄養障害がある方の栄養をサポートしています。 - フットケアサポートチーム
メンバーは医師(循環器内科、血管外科、形成外科)、看護師、理学療法士で構成され、足トラブルに対して多職種が連携して活動しています。入院患者さんに対しては、足のスクリーニングを行い足病変の早期発見、早期対応できる体制を整えています。フットケア外来では、形成外科医師を中心に看護師、理学療法士、義肢装具士と多職種でフットケア・フットウェア外来を行っています。例として、手術により切断を余儀なくされた方、リウマチや糖尿病等により足変形がある方に対して装具作成・調整、創傷ケア、スキンケアなどです。 - FAST(家族支援チーム)
児童相談所における児童虐待対応件数が年々増加しており、児童虐待に関連するニュースは大きな社会問題となっています。当院では院内における虐待対応チーム(CPT:チャイルド・プロテクション・チーム)を、FAST(家族支援チーム)の名称で活動しております。参加部署は小児科、新生児科、産科、救急救命科、眼科、歯科口腔外科、神経精神科、医療連携福祉相談室で、実際の虐待発見時の対応を行っております。 - がんとつらさのサポートチーム
メンバーは医師(泌尿器科、緩和ケア科、神経精神科)、看護師、薬剤師、理学療法士、社会福祉士、管理栄養士、公認心理師で構成され、主にがんなどのつらい症状や不安などの心の苦痛を和らげ、患者さんとその家族が「自分らしく」過ごせるようにお手伝いする専門チームです。一般的に『緩和ケアチーム』と言われています。がんと診断されるとき、治療中、どの場面でも、患者さん、ご家族、医療従事者が抱えている困難な問題を支援します。 - ICT(院内感染対策チーム)
メンバーは医師、看護師、臨床検査技師、薬剤師、管理栄養士で構成され、週1回ICTラウンドを実施し、接触感染対策等の実施状況を確認し各部署にフィードバックしています。抗菌薬適正使用支援チーム(AST)ラウンドでは、抗菌薬の適正使用の確認をしています。また、手指衛生の遵守率の向上を目指し、リンクナース会を中心にアルコール測量、手指衛生直接観察を実施しています。 - RST(呼吸サポートチーム)
メンバーは医師、看護師、理学療法士、臨床工学技士、管理栄養士、歯科衛生士で構成され、患者さんに安全な呼吸器管理が提供されることを目的に、人工呼吸器を装着している患者さんのサポートや、人工呼吸器に携わるスタッフの不安や悩みを解消できるように、知識・技術の獲得に向けた教育指導を行っています。病棟ラウンドでは、毎週火曜日に人工呼吸器を装着している患者さんの元へ訪室し、治療やケアに対する助言やサポートを行っています。 - 褥瘡対策チーム
メンバーは医師(形成外科)、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床検査技師、管理栄養士、事務員で構成され、褥瘡、スキントラブル全般の予防と治療の対策を行っています。入院患者さんの高齢化により皮膚裂傷(スキン-テア)も多く発生しており、病棟のみならず外来での対策も強化しています。入院患者さんにおける皮下組織を超える重症褥瘡に対しては、毎月第2・4木曜日の午後に褥瘡対策チームの集合回診を行っています。また、第1・3週は、チームのメンバーが個別で介入します。 - 糖尿病サポートチーム
メンバーは医師、看護師、理学療法士、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、歯科衛生士で構成され、糖尿病の改善を目指して、下記のテーマで様々な取り組みを行っています。主なものとして、1.糖尿病診療に関する医療スタッフ教育では、糖尿病療養指導士の取得支援や院内スタッフ向けのレクチャー、2.糖尿病患者教育では、糖尿病教室の開催や患者・市民向け講演会での講師担当、3.糖尿病に関する啓発活動では、病院まつりや地域イベントに参加し血糖測定や健康相談への対応、4.チームメンバーの研鑽サポートでは、学会発表や論文作成の支援を行っています。 - AYA世代がん患者サポートチーム
15歳~39歳までをAYA(Adolescent and Young Adult)世代といいます。AYA世代のがん患者さんは、年間約2万人とされ年々増加傾向となっています。患者数としては少なく見落とされやすいこの世代は、就学・就労・恋愛・結婚・出産・育児など多くの悩みを抱え、ゆらぐ葛藤の中で必死に答えを求めようとしています。このようなAYA世代のがん患者・家族に適切な支援体制を構築するため、「AYA世代がん患者サポートチーム」が立ち上がりました。メンバーは医師(産婦人科、神経精神科、血液内科)、看護師、薬剤師、公認心理師、社会福祉士、管理栄養士、理学療法士で構成され、多職種からなるチームで様々な視点からAYA世代患者さんを理解し、ライフステージに合わせたよりよい支援を提供していきたいと思います。 - DST(認知症サポートチーム)
メンバーは医師(神経精神科)、看護師、社会福祉士で構成され、認知機能が低下している患者さんに対し、専門的知識を有した多職種とリンクナースが病棟を訪問し、症状の悪化の予防や身体疾患の治療が円滑に行われるように支援しているチームです。Dementia care Support Team の頭文字をとってDSTと呼んでいます。 - 排尿ケアチーム
入院中の排尿問題が、退院後の生活に支障を来すと言われています。「おしっこが出ない」・「出るけど残った感じがする」・「尿もれがある」などで困っていることがある患者さんに対して、入院中より排尿改善(自立)にむけ、医師(泌尿器科)・看護師・理学療法士・作業療法士などにより専門性を活かしてサポートするチームです。 - リエゾンチーム
メンバーは医師(神経精神科)、看護師、薬剤師、公認心理師で構成され、多職種が協働し、専門知識を活かして各身体科と連携しながら入院治療が安心・安全に進められるよう支援活動しています。入院病棟から依頼を受け定期的にチーム回診を行っています。必要に応じて各専門職が個別にベッドサイドに伺う場合もあります。