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排尿障害の診断・治療の進歩(泌尿器科:中津裕臣)

おしっこに悩んでいませんか?より快適な生活へのお手伝い

生活の中でおしっこの関わる時間

1日5回おしっこに行くとして、80年では約15万回。
1回2分とすれば、7ヶ月をおしっこに費やすことになる(1%足らず=排尿)。
膀胱は99%以上の時間、おしっこを溜める働きをしている(=蓄尿)。

蓄尿と排尿のメカニズム

腎臓は絶えず尿を作り続けている。

蓄尿では
排尿筋(膀胱を収縮させる筋)は緩んでおり、括約筋は締まっている。
尿が溜まった情報は絶えず脳に伝えられている。
勝手に膀胱が縮まないように、脳から命令が送られ続けている。(無意識)
ある程度尿が溜まると、意識される。

排尿では、自分(脳)の命令によって括約筋がゆるみ、排尿筋が縮む。

前立腺の働き
普段は尿道を圧迫して、尿が漏れないようにしている。排尿時には、筋肉の働きで、尿道を押し広げるようにしている。

排尿障害をきたす病気

神経因性膀胱
排尿筋(膀胱を収縮させる筋)は緩んでおり、括約筋は締まっている。
脳血管障害、痴呆、脳・脊髄疾患、二分脊椎、末梢神経障害、薬物性排尿障害、心因性排尿障害
尿失禁
切迫尿失禁、腹圧性尿失禁、機能性尿失禁、溢流性尿失禁、夜尿症、尿管異所開口、膀胱瘤、子宮脱、前立腺肥大症、膀胱頚部硬化症、後部尿道弁、尿道狭窄、尿道憩室、外尿道口狭窄

夜尿症

生下時にはすべての人間が夜尿を生じる。12歳までの夜尿の頻度は14%(夜尿消失年齢の平均は7歳)。

原因
中枢神経の抑制経路の発達遅延、抗利尿ホルモン分泌不全、睡眠障害、心理的原因、下部尿路通過障害、神経因性膀胱
下部尿路通過障害…尿道狭窄、後部尿道弁、外尿道口狭窄、尿道憩室、てんかん
診断
中枢神経や泌尿器の異常についての検査
治療
膀胱訓練法…膀胱容量を増大させる
薬物療法…三環系抗うつ薬、副交感神経遮断薬、抗利尿ホルモン薬など

腹圧性尿失禁(ストレス尿失禁)

くしゃみや咳、走る、などお腹に急な力の加わったときに、尿がもれる。

一般女性の15〜30%にみられる。膀胱の出口を塞ぐ力が不足するのが、主な原因:骨盤底筋群が弱くなっている。

診断
尿路感染を除外
膀胱瘤、直腸瘤、子宮脱の有無
失禁テスト、膀胱造影
治療
保存的療法…骨盤底筋訓練、薬物療法、電気刺激、失禁防止用具コラーゲン注入療法手術療法…ナイロンスリング手術(TVT)

前立腺肥大症

中高年男性にみられる病気。前立腺は生殖器(年をとってから大きくなることはない。)
前立腺の中に腺腫(いぼ)が出来て、前立腺の自由な動きを妨げる。

症状
トイレがちかくなる(特に夜間)
尿がなかなか出てこない・勢いが弱い・きれが悪い
尿がもれる
診断
前立腺癌をみのがさない(PSA)
排尿状態の正確な把握…症状スコアIPSS)、尿流測定、残尿検査、超音波検査、内視鏡、直腸診
治療
保存的療法…薬物治療(α受容体遮断薬、抗男性ホルモン薬、漢方薬など)
尿道ステント留置、高温度治療、レーザー治療、焦点式高密度超音波治療
手術療法…内視鏡的切除(TURP)、開腹手術(皮膜下摘除術)

おわりに

おしっこのトラブルをそのままにしておくと、快適なはずの生活が大分損なわれる。自分では異常だと思っていても、病気でないこともある。「年のせい」などと、あきらめなくても、治療方法はたくさんある。

1人で悩まないで、早く快適なくらしをとりもどしましょう。