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遺伝子診療科

2021年11月に開設しました。遺伝学的検査や遺伝カウンセリングなど、遺伝性の病気について詳しく知りたい方、遺伝に関するさまざまな悩みや不安を抱えている方を対象に、適切な医療情報の提供、遺伝学的検査の検討、心理社会的なサポートおよびケアなどを行っています。状況に応じて担当診療科の医師にも同席いただく遺伝カウンセリングを行う場合もあります。

また、近年保険適応となった遺伝学的な検査によるコンパニオン診断、および、がん遺伝子パネル検査(がんゲノム医療)も診療科と連携し、患者さんの必要に応じて検査やカウンセリングなどを行っています。

スタッフ

役職 氏名 学会資格等
主任医長
産婦人科主任医長
地域周産期母子医療センター主任医長
髙橋健太 日本産科婦人科学会専門医
日本婦人科腫瘍学会婦人科腫瘍専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
非常勤医師 不殿絢子 臨床遺伝専門医
(非常勤) 村松みゆき 認定遺伝カウンセラー

診療日

  予約の有無
月曜日・水曜日の午後 完全予約制

主な診療内容

受診の際の注意事項

  • 完全予約制のため、受診される前に遺伝子診療科宛に電話でご予約ください。
  • 受診内容により私費診療となります、詳細はお問合せください。
  • 当院にて現在診療されていない患者さんは、基本的には紹介状が必須となります。
    また、事前に受診内容を照会し受診可否の検討をさせていただきます。医療機関より当院の医療連携室を通じてご連絡ください。
  • がんゲノムプロファイリング検査を目的とした紹介につきましては、治療を主に担当する診療科にご相談ください。
  • 受診時に他医療機関に入院中の患者さんによる受診はできません。
  • 同意書の自署が必要となるため、本人同意のない受診はできません。

ご予約・お問合わせ方法

平日(土・日、祝日、年末年始を除く)14:00~16:00の間に、代表電話番号(0479-63-8111)より遺伝子診療科までご連絡ください。お問合せの際は、お手元に診察券(診療登録カード)をご用意ください。
ご予約の際に、相談内容をお伺いします。内容により後程、予約をお組みする事がありますので、ご自分の連絡先または連絡方法をお教えください。

遺伝に伴うカウンセリングをご希望の場合

主に遺伝性腫瘍に関するカウンセリングを実施しています。相談者の話しを伺いながら、がんの遺伝や遺伝子検査に関する正確な情報を提供し、ご自身で病気について考え良い選択をするお手伝いをしていきます。また、遺伝性のがん(遺伝性腫瘍)の発症リスクを正しく知ることにより、がんの予防、早期発見、治療選択、家系全体の健康管理に役立てることができると考え、カウンセリングでお話しています。

遺伝カウンセリングの内容

  • がんの治療や検査、予防方法など医学的管理についての情報
  • 遺伝学的検査を受けるメリット、デメリットについて
  • 血縁者の遺伝学的検査や医学的管理に関する情報

受診対象者

  • 遺伝性のがんが疑われる方(家系内にがんが多発している、若年でがんを罹った、一人で複数のがんを患った等)と、そのご家族
  • がん治療のコンパニオン診断として遺伝学的検査を予定している方、または施行された方
  • がん遺伝子パネル検査で遺伝性腫瘍の原因遺伝子に変化が認められた方
  • 遺伝性疾患について相談したい方

カウンセリング料金

  • 院内より紹介
  •    初回 5,000円(税抜)
       2回目以降 3,000円(税抜)

  • 院外より紹介
  •    初回 10,000円(税抜)
       2回目以降 3,000円(税抜)

  • 遺伝子検査実施後の検査結果説明
  •    3,000円(税抜)

  • 保険点数*
  •    1,000点
    *BRCA1/2遺伝子検査、リンチ症候群診断目的、角膜ジストロフィー遺伝子検査などの遺伝性腫瘍に関する検査や難病に関する検査を対象とする遺伝子検査を行う目的の場合は保険適応が認められているため、それに伴うカウンセリングと当該検査の結果説明を行った場合は保険適応となります。詳細についてはお問合せください。

そのほかの遺伝カウンセリングについて

遺伝性のがん以外の遺伝性疾患についての遺伝カウンセリングについては、事前に主治医の先生と遺伝子診療科担当医師との間で相談をしてから当科で遺伝カウンセリングを実施するかどうかを決定しています。そのほかの遺伝カウンセリングをご希望の場合にはまずは主治医の先生とご相談ください。(2023/05/16現在)

遺伝性腫瘍検査やコンパニオン診断を目的とした受診

2018年7月にがん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳がんに対するPARP阻害薬の承認とともに、その投与可否判断のためのコンパニオン診断としてBRCA1/2遺伝子検査が保険適応となり、2019年6月には初発進行卵巣がんに対する初回化学療法後のPARP阻害薬による維持療法のためのBRCA1/2遺伝子検査も保険適応となりました。さらに、2020年4月には乳がん、卵巣がんまたは卵管がん患者のうち、HBOCのリスクが高い患者に対して、医学的管理(サーベイランスやリスク低減手術)を行うHBOC診療の一部が保険適応となり、その中にBRCA1/2遺伝子検査も含まれています。
遺伝学的検査の結果は本人だけではなく、その血縁者にも関係するため、結果によっては遺伝について心配になったり、不安が大きくなったりすることが考えられるので、遺伝カウンセリングを行い遺伝学的検査の実施や血縁者診断、フォローアップからリスク低減手術までの一連の診療を提供していきます。

受診対象者

  • 薬剤選択に伴うBRCA1/2遺伝子検査を施行する方
  • 遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)診断のためのBRCA1/2遺伝子検査を施行する方
  • BRCA1/2遺伝子検査が陽性となった患者の血縁者

検査料金

  • 薬剤選択や、遺伝性乳癌卵巣癌症候群の診断目的の場合
  •    BRCA1/2遺伝子検査 20,200点 + 遺伝カウンセリング加算 1,000点
       他、初再診/判断料/採血料など発生
       3割負担の患者で、概ね¥65,000円が患者負担

  • BRCA1/2遺伝子検査が陽性となった患者の血縁者の場合
  •    例)遺伝カウンセリング初回\5,000円 + シングルサイト\40,000円
       例)遺伝カウンセリング初回\5,000円 + HBOCスクリーニング\160,000円
       ※提出する検査項目により大幅に増額あり

がんゲノムプロファイリング検査を目的とした受診

がん診療の分野は日々研究が進んでおり、現在ではがん治療の中で患者さんのがん細胞に起きている遺伝子の変化を調べて、患者さん一人ひとりの特徴に合わせた治療などを行う「がんゲノム医療」が行えるようになっています。
2019年6月よりがんゲノムプロファイリング検査(がん遺伝子パネル検査)が保険適応となりました。がん遺伝子パネル検査とは、数100種類のがんに関わる遺伝子について、がん組織での変化を一度に調べ、その遺伝子の変化に対応した治療薬(治験薬含)を探すための検査です。対象となる条件に適合した患者に対して1回の検査でがんに関連する100個以上の遺伝子にある変化を調べ、治療効果が期待できる治療薬や臨床試験の情報を得ることができます。ただし、検査を行っても有効な情報が得られない可能性も十分にあります。当院は千葉県がんセンターと連携をして行っています。
解析結果がでたらエキスパートパネルの開催があり、遺伝子診療科医、主治医、病理学専門医たちが集まり、がん遺伝子パネル検査の解析結果に加えて患者の治療歴や健康状態などを踏まえて総合的に検討し今後の治療方針を決定する会議を行っています。
また、検査の結果でお子さんや兄弟など血縁者へ遺伝する遺伝性腫瘍に関わる可能性がある遺伝子の変化が見つかることがあります。その場合は二次遺伝カウンセリングを行っています。
検査を希望される患者さんは、担当医にご相談ください。

保険適用となった検査の種類

  • FoundationOne® CDx
  •    がんに関連した324遺伝子について腫瘍組織検体(病理)を用いて検査

  • FoundationOne® Liquid CDx
  •    がんに関連した324遺伝子について非腫瘍細胞検体(血液)を用いて検査

  • NCCオンコパネル*
  •    がんに関連した124遺伝子について腫瘍組織検体(病理)と非腫瘍細胞検体(血液)の両方を用いて検査
       *当院では当面実施予定なし

受診対象者

  • 下記のいずれかの診断を受けた方
  •    標準治療で効果がなく、次の治療を探している固形がんの方
       原発不明がんの方
       標準的な治療が確率されていない希少がんの方

  • 全身状態や機能などから、本検査実施後に検査結果をもとに化学療法が実施できると主治医が判断した方

保険適用となった検査の種類

   検査提出時に44,000点 (3割負担の場合132,000円)

   検査結果説明後に12,000点 (3割負担の場合36,000円)

   ※上記費用は検査費用のみであるため、診察料、診断料が別途必要となります
   ※健康保険適用の検査のため、高額療養費制度の対象となります
   ※検査結果で有効な治療情報が得られなかった場合でも、上記検査費用は患者さんご負担となります
   ※遺伝性腫瘍が見つかった際の遺伝腫瘍カウンセリング費用は別途必要となります