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慢性副鼻腔炎(ちくのう症)と内視鏡下鼻内手術(ESS)

副鼻腔炎(ちくのう症)

人間の顔面には、鼻の周りに空洞がいくつか存在しています。眉間から眼の上には「前頭洞(ぜんとうどう)」、頬のところには「上顎洞(じょうがくどう)」、両目の中間に位置している「篩骨洞(しこつどう)」、鼻の一番奥に存在する「蝶形洞(ちょうけいどう)」。これらをまとめて副鼻腔といい、いずれの空洞も鼻内と交通しています。

これらの空洞に炎症が生じた状態を「副鼻腔炎」と呼び、鼻閉・嗅覚障害・頭痛・膿性鼻汁といった症状が出現します。炎症が生じると、これらの空洞に膿が溜まるために、以前は「蓄膿症」とも表現されました。風邪に引き続いて細菌感染により副鼻腔に急性の炎症が起きた場合を「急性副鼻腔炎」といい、主に抗生剤や解熱鎮痛薬などを使って治療をします。重症の場合には、鼻腔から上顎洞に針を穿刺して、上顎洞内を直接洗い流す上顎洞洗浄を行う場合もあります。

一方、3ヶ月以上にわたって副鼻腔の炎症が慢性化した病気を「慢性副鼻腔炎」といいます。慢性副鼻腔炎に対する治療には、病気の程度によって異なりますが、内服加療と手術に大きく分かれます。前者では、通常服用する抗生剤の1日量の半分を約3ヶ月使用する方法です。この治療法の出現で慢性副鼻腔炎の薬物療法がかなり向上しました。しかし、慢性副鼻腔炎の症状が強かったり、内服加療をしても改善しない場合には、手術を行います。手術にもいくつか種類がありますが、現在最も一般的に行われているものが、下記に述べる内視鏡下鼻内手術です。

内視鏡下鼻内手術について

1980年後半より鼻副鼻腔疾患に対して内視鏡下鼻内手術(ESS:endoscopic sinus surgery)が導入されるようになりました。内視鏡下鼻内手術は、以前の副鼻腔根治手術とは異なり、鼻孔より内視鏡を使用してTV画面で鼻の状態を見ながら鼻内手術を施行する方法です。患者さんに対して非常に負担が少ない手術として現在一般的に行われており、この方法により、術後の痛みや頬部のしびれといった従来の副鼻腔根治手術で起きやすかった症状は軽減されるようになりました。

具体的には、鼻腔と交通している副鼻腔の自然孔を開大し、排泄機能を向上することで生理的治癒を図るものであります。その利点としては、鼻内を常に内視鏡で明視下におくことで極めて安全にまた正確に手術を施行することができる、という点であります。内視鏡下鼻内手術の適応疾患ですが、上に述べた慢性副鼻腔炎の他に、鼻ポリープ・鼻中隔彎曲症・副鼻腔嚢胞・副鼻腔良性腫瘍・眼窩壁骨折・また止血困難な鼻出血への止血手術が挙げられます。またマイクロデブリッダー(吸引と削開を同時に行いながら病的組織を除去する手術用高速回転装置)などの周辺機器の開発により、短時間に手術を行うことができるようになりました。

当院では、この内視鏡下鼻内手術を専門的に行っており、以上に述べた疾患を抱える患者さんに積極的により質の高い治療の提供を心がけております。