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「男の子ですか?女の子ですか?」(産婦人科:小林康祐)

−妊婦健診での超音波検査について−

妊婦健診では体重を測ったのちにベットの上で超音波検査を行いますね。妊婦健診を受けにいらっしゃる妊婦さんのなかにも「赤ちゃんが元気ならがそれでいいです」という方やベットに寝た瞬間に「男の子ですか、女の子ですか?体重は?赤ちゃんに問題はないですよねえ?」とたたみ掛けるように質問する方などさまざまです。

超音波を用いて胎児を観察することの意義は「胎児の元気のよさ、正常な発育の有無、奇形の有無」を早く発見し対応していくことと考えていますので、当院では妊婦健診のたびに超音波検査を行い、胎児の状態を確認しています。奇形によっては超音波では確認できにくいものがあり、すべての異常を発見することはできないのですが、可能な限り事前に診断をすることで、分娩時期や分娩方法、分娩に際して新生児センターへの入院が必要か等の検討をすることが重要であると考えています。

もちろん、多くの妊娠は病気ではなく、赤ちゃんも元気ですので、ほとんど医療の助けを借りることなく、母子ともに元気に退院していかれる方が多いのが現実です。実際、医療の介入をまるで悪いことであるかのように主張している病院や助産院をみかけますが、それはあくまで異常のない状態の母子の話であり、例えば重篤な奇形をもった赤ちゃんが産まれてきた場合はどうでしょう?あらかじめトラブルの可能性を考えて準備をしている病院で分娩するのと、そうではないのとではその後の赤ちゃんの状態は全く異なります。

妊婦健診ではわれわれ産婦人科医は超音波を通してお腹の中の赤ちゃんと「どこか痛いところはないですか」とか「栄養は十分足りてますか」などと会話をし、そして、多くの赤ちゃんは「痛いところはないし、栄養も十分だよ」と答えてくれます。きっと、その会話のなかで「あなたは男の子なのかなあ?お母さんは今後は男の子がほしいって言っているけど」と聞いてみる時間もあると思います。赤ちゃんの性別を知りたいのも、親としては当然ですからね。ただ、その質問はどうしても最後のものとなるし、本来の超音波検査の意義のうちに含まれてはいない内容なんだということを理解していただきたいと思います。われわれは妊婦健診の際に「お母さんと赤ちゃんの異常を見逃さないぞ」という冷静な臨床医としての目を持つ必要がありますが、同時に少しでも妊婦さん自身が妊婦健診を楽しんでいただければというサービスの精神を持っていきたいとも思っております。ひとりでも多くの皆さんが笑顔でお産に望んでくれることを祈りつつ…。