第37回 国際福祉機器展H.C.R.2010 見学にあたって
今回、在宅看護論・老年看護学の授業の一環として、平成22年9月29日~10月1日の間に、東京国際展示場「東京ビックサイト」で行われた国際福祉機器展に48回生(1年生)とともに参加させて頂きました。この福祉機器展は、第37回を数え、16カ国・1地域より490社が出展、20,000点の福祉機器を総合展示する、国内切ってのイベントです。
老年者・障がい者の自立生活や社会参加の促進、家庭や福祉施設で介護を支援する福祉機器の役割は大きくなっています。H.C.R.2010 では、食品・衣類から福祉車両・住宅改修機材まで様々な福祉機器と関連情報を見ることが出来ました。沢山の展示がある中、学生個々に様々な感想を抱き良い見学が出来ました。その中で、3人の学生のレポートを発表させていただきます。
在宅看護論担当
国際福祉機器展(H,C,R ,2010)を見学して考えたこと
48回生
私が一番初めに見学したのは、個浴型介護浴槽です。安心・安全性に優れ、お湯の温度や水位が選択出来るなど、療養者にとってリラックスしやすい工夫に感動しました。また、移動に負担が少ないことは、介助者にとっても有難いことだと思います。何より、介助に必要となる人数を軽減できることは、世界切ってのスピードで高齢化が進んでいるわが国の今後を支える上で、重要な要素だと思います。しかし、人数や人手を減らせるからといって、療養者の安全を見守り観察すること、羞恥心への配慮など生身の人間でなければ出来ないことに手を抜くべきではないだろう、と考えました。
現在、学んでいる看護の理念を一人一人が常に身につけるべきであると同時に、介助の人数や負担が減るからこそ、自分ひとりの責任がいかに重いかを意識しなければならない、と感じました。介助者と療養者は、「1対1」の関係性を築いていくことが今後増えていく、という意味にも捉えられました。療養者が心身ともにリラックスしていただけるよう、人柄、人間性を磨いていこうと思います。次に、トイレや車いす、自動洗髪台などを見学しました。滑り止めの便座にすることで、摩擦係数を減らし、汗をかきにくくしたり、安楽な姿勢を保持したままで移乗ができたりと、数多くの福祉機器を目の当たりにすることができました。人工乳房や人工補正具のリアルさには驚きました。しかし、それらを装着する方々の根本的な苦しみは、どんなに物品が良くなっても変わらないと思います。
そういった科学技術の進歩をいかに生かしていけるかは、看護師の言動一つ一つにかかっているのだ、と考えました。発展していく利便性を、きちんと温かな対応で活用できる人間になりたい、と改めて思いました。
48回生
今回、東京ビックサイトで沢山の福祉機器の展示を見て、驚いたことや初めて知ったことがあります。広い会場の中で特に多くみられたのが、移動機器(車いす)です。実際にこの車いすの使い方を目の前で見ることができました。そこで私が考えたのは、ボタンひとつで楽々と階段を上り下りできるので、足腰に負担がかかることがないので、お年寄りの人たちはこの機械があったら今の暮らしをもっと快適に過ごせるのではないかと考えました。また、「まっすぐ・曲がり・らせん」など、殆どの階段に対応しているので、取り付けに心配はいらないと思います。
機能はもちろんのこと、シートのバリエーションにもどの会社もしっかり考えていて驚きました。男女共に使用するのですから、どちらが使用しても不快がない色、また原色よりは淡い感じで優しい色合いのシートが多かった点にも気がつきました。
その他に気になったものは移動機器(リフト)です。私は実際体験してみました。体にベルトを巻きつけてもらったら完成で、本当に持ち上がるのかとても不安でしたが、ちゃんと上にあがって、車いすからベッドに移動してくれました。乗っている側としては、力もいらないし、ただ座っているだけで移動することができるのでとても楽でした。また、乗り心地も良くて、これなら安心して乗ることができると思いました。介助している方も、力を入れることなく、スムーズに楽々と作業していたので、家族の方も簡単に出来るのではないかと考えることができました。
今回見学をして、今の時代、高齢化が進んでいる中でこのように便利で安心な機械に沢山触れたり、見たりすることができて、良かったです。このまま知らないまま看護を学んだならば、なんだかもったいないような気がしたからです。これから先、ますます医療技術が発展したら、どのような商品が開発されるのか興味を持ちました。私は今回の経験で学んだことを忘れずに、これからの医療技術にも注目していきたいです!
48回生
今回、ビックサイトで各種最新の福祉機器を見学しました。色々とあって、実際に使ったりして本当に為になりました。まず、韓国館のブースにあったアイソトニックという機器です。視覚障がい者の為に白杖の取手に付けるもので、前方の障害物を自動で認知・振動で情報を知らせるものです。眼をつぶってみると、ブルブルっと地面でも鳴り、すごく安心した気持になりました。真っ暗の中で日常を送っていることはとても不安だと思うし、出かけることも怖くなると思います。外出時、この機械があれば心強いと思いました。
次は、ホイールチェアビークルという乗り物です。自動車でもなく、バイクでもない、でも見た目はバイク。車いすに乗ったまま、簡単なレバー操作で、リチウムイオンをバッテリーとするEV車で気軽に目的地まで移動できるものです。車だと車いすからの移乗など大変そうですが、これだとレバーを上げて車いすを定位置にロックし、出発できるので、行動的な方にはピッタリだと思いました。欠点は航続距離が25㎞なので、もう少し長くなるといいのかなと思いました。旅行やツーリングなど楽しそうだと思いました。
食事のブースで各社様々な試食をしました。主に高齢者および咀嚼、嚥下機能の低下した方向けの新ソフト介護食でした。離乳食と同じでしたが、味付けは美味しくいただけました。何を重要視しているのかというと、色や形、香りだということでした。ミキサー食ではメニューの変化がつけづらく、見た目が地味で食欲がわきにくいなどの欠点がありました。それを改善し、例えば鮭なら、素材の皮や骨など取り除き、再形成し、素材そのものを食べている食感や風味を忠実に再現していました。飲み込みやすさに加え、何よりも食べることの喜びを十分に感じられるそうです。本当に口の中に風味が広がり、生臭さもしばらく残っていたのでびっくりしました。見た目はかまぼこの様ですが、料理バリエーションが照り焼きやフライ、チャンチャン焼きなど、魚と一緒なので、介護する側も作りがいが出ると思いました。
最後に私は、開場内を見て回る中、障がいを持った方と沢山すれ違いました。皆さん、自らのQOLを高めるために、熱心に見学していました。その姿を見て、何が必要なのか観察し、必要な援助を進んで考えていきたいと思いま
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