PET画像診断センター

2004年10月、私たちは自治体立の総合病院として全国で初めてPET画像診断センターを立ち上げました。このセンターではFDG-PETを中心にがん、心臓病、脳神経疾患の診療に新たな貢献を目指しています。院内の検査だけでなく、近隣の医療施設の皆様と密接に連携し、より多くの患者様にこの優れた診断法を利用していただこうと考えています。

PETとは?

PET(Positron Emission Tomographyの略でペットといいます)は核医学検査の一つです(Q1Q2)。従来の核医学検査に較べ、解像度、定量性、感度などが格段に優れた診断技術です。

特にブドウ糖の標識化合物FDG(F-18 Fluorodeoxyglucose)(Q3Q4)を用いたPET検査は各種がん、心臓病、脳神経疾患の診断に大変有効です(Q5Q6Q7)。またX線CTと組み合わせたPET/CT装置で撮影することで、機能情報(PET)と形態情報(CT)を総合した画像診断が可能です(Q8)。

PET/CT画像、矢印部分が乳がんのリンパ節転移のある部位です。PET画像とCT画像を重ね合わせると病気の部位が正確にわかります。

 

 

施設の概要

サイクロトロン室には医療用サイクロトロンが設置されています。ホットラボ室ではFDGの合成、品質管理を行っています。撮影室にはPET/CT装置(Siemens Biograph LSO DUO)が設置されています。医師、薬剤師、診療放射線技師、看護師、事務職員が検査に対応しています。

診察内容

悪性腫瘍(早期胃がんを除く)、心疾患(虚血性心疾患と心サルコイドーシス)、てんかんについてFDGを用いた保険診療を行っています。疾患毎の条件や費用についてはQ&Aをご参照ください(Q9Q10)。

保険適応外の疾患や健診について

また保険適応の条件からははずれるが診断に有効な疾患があります。このような場合は自由診療の扱いになります。詳しくは受け持ちの先生か私たちにご相談ください。費用はQ&Aをご参照ください(Q10)。

PET検査を人間ドックに追加している施設では、受診者の1〜2%にがんを発見しています。これは従来の健診に比べ高い発見率です。ただ胃がん、前立腺がん、膀胱がんなど、いくつかのがんはPET検査の性質上診断が難しく、内視鏡など他の検査の方が診断能力が優れています(Q11)。そこで当院で行っている日帰りもしくは、一泊二日の人間ドックにPET検査を追加して、総合健診の一環として検査を行っています(Q12)。

検査で受ける放射線量

PET検査ではごくわずかの放射線を出す薬を静脈から注射しますので、少量の放射線被ばくがあります。PET検査と低線量CTによる放射線の被ばく量を合わせても、胃や大腸のX線検査とほぼ同じレベルで、ほとんど心配はいりません。(Q13Q14)。

検査の流れ

  1. 来院時間が12時40分までの方は朝絶食です。13時20分以降来院の方は朝食を午前7時までに済ませてください。炭水化物を控えるため、主食や果物は避けてください。
  2. 受付
  3. 問診・体重測定
  4. 血糖を計測した後、FDG静注
  5. 安静室で約1時間安静
  6. 排尿後PET/CT撮影。約30分、安静状態での撮影です。
  7. 帰宅
  8. 検査結果は後日ご報告いたします。

※糖尿病の方では食事の注意が異なる場合があります。

各種ご案内文書

保険適応にて予約された担当医の皆様へ(資料PDF形式)
※問診票は患者様にお渡しください。

お問い合わせ先

総合病院 国保旭中央病院 PET画像診断センター

〒289-2511 千葉県旭市イの1326番地
TEL/FAX 0479-63-3333

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Q1:PET検査とは?

PET(ペット)検査は、がんのある部位や、心臓や脳の働きを断層画像(輪切りや縦切りの断層があります)としてとらえ、病気の原因や病状を的確に診断する新しい検査法です。この検査では、ポジトロンを放出するくすりを、静脈から注射します。くすりが体の中を移動して、がんのある部位や、心臓あるいは脳などに集まる様子を、からだの外から「PET装置」で撮影します。

※PETは、Positron Emission Tomographyの略語です。Positronは「陽電子」、Emission は「放射」、Tomographyは「断層撮影」の意味です。

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ポジトロンとは、陽電子といって正(プラス)の電荷をもった電子のことです。ポジトロンと負の電荷を持つ普通の電子は、互いに引き寄せあう性質があります。

このためポジトロンが元素から放出されると、すぐに電子と結合します。この結合の瞬間にポジトロンも電子も消滅して、2本の放射線を正反対の方向へ同時に放出します。

この放射線を「PET装置」で撮影して、身体の中のポジトロンの様子を画像にします。

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人体が必要としているさまざまな物質に、ポジトロンを放出する元素(ポジトロン核種)を標識した(くっつけた)化合物が、PET検査に用いるくすりです。

目的に応じてさまざまなくすりが用いられています。私たちが用いるくすりは、ブドウ糖をポジトロン核種で標識したF-18フルオロデオキシグルコース(以下FDGと略します)です。

がん組織はブドウ糖をエネルギー源としてたくさん取り込むので、PET検査によりがんの部位を診断することが出来ます。また心臓の筋肉や脳などもブドウ糖をエネルギー源として利用しますので、心臓の活性や脳の機能を知ることができます。

F-18はポジトロン核種の一つで、小型サイクロトロンで造ります。半減期(放射能の強さが半分に減るまでの時間)は110分です。110分で1/2、220分で1/4、330分で1/8と検査後放射線はどんどん減っていきます。

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私たちがPET検査に使うくすり(FDG)は、半減期が短いので、PET画像診断センター内にある専用の施設でつくります。まず、サイクロトロンと呼ばれる装置でポジトロン核種を製造し、できたポジトロン核種を元になる化合物に標識します(くっつけます)。

施設は厳しい安全基準によって運営され、純度試験や無菌試験などを行い、合格したくすりを検査に用います。専任の薬剤師がこの作業を行います。

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がん細胞は正常の細胞よりも分裂が盛んに行われるため、ブドウ糖をエネルギー源としてたくさん必要とします。そのためFDGを静脈から注射すると、がんの病巣にたくさん集まります。

その様子をPET装置で撮影すると、がんのある部位とその活性がわかります。さらに私たちが導入したPET/CTではX線CT検査と組み合わせることで、CT検査による正確な部位情報とPET検査によるがん活性の情報を同時にかつ正確に評価することができます。

正確な診断ができると適切な治療法を選ぶことができ、また治療範囲を決めるのにも大変役に立ちます。

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糖分の多い食事を摂ると心臓の筋肉はブドウ糖を主なエネルギー源として利用します。ですからFDGを静脈注射すると、血流が十分ある元気な筋肉、血流は低下していても生きている筋肉にはたくさんFDGが集まりますが、心筋梗塞をおこして死んでしまった筋肉には集まりません。

狭心症や心筋梗塞を起こした心臓の筋肉が生きているかどうかを確認することで、適切な治療法を選ぶことができます。

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脳はブドウ糖を唯一のエネルギー源として利用しています。ですからFDGを静脈注射すると、アルツハイマー型痴呆などで脳の機能が低下している部位への集まりが低下します。

またてんかんなどがあると、病気の元になっている脳の部位にFDGが集まらないので、診断に役立ちます。

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PET検査が優れている点は、ブドウ糖など体の大事な成分がどの位がんや心臓あるいは脳に集まるかを、断層画像に出来ることです。

ただくすりが集まらないところは画像にならないので、場合によってはくすりが集まっている場所が体のどの部分かわかりにくいことがあります。

一方CT検査は体の中がどのような構造になっているのか、病気でそれがどのように変わっているのかを断層画像で診断することができます。

PET/CT装置はPET装置とCT装置という二つの異なる装置を一つの装置としてくっつけたものです。二つの検査を同時に行って重ねあわせ画像をつくります。

両方の検査の良い部分をより生かせる新しい画像診断法として欧米で急速に普及しています。私たちが使用しているPET/CT装置はSiemens社製の LSO Biograph DUOという装置です。

LSOという優れた特性をもつ検出器を使用した装置で、またPico 3Dという最新の信号処理回路をそなえ、感度と画質が従来の装置より一段と向上しています。

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FDGを用いたPET検査で保険適用となるのは、悪性腫瘍(早期胃がんは除く)、心疾患(虚血性心疾患と心サルコイドーシス)、てんかんです。

悪性腫瘍(早期胃がんを除く)については、他の画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない患者に使用します。悪性リンパ腫は治療効果判定の場合も認められています。「がん疑い」段階での検査はできません。ただ生検リスクが高いなど医学的な理由で病理診断が困難な場合は、臨床上高い蓋然性をもって悪性腫瘍と診断されれば検査は可能です。「他の画像診断」とは「超音波検査、CT、MRI及び核医学検査」などです。

心疾患については、虚血性心疾患による心不全患者における心筋組織のバイアビリティ診断(他の検査で判断がつかない場合に限る)又は心サルコイドーシスにおける炎症部位の診断が必要とされる患者に使用します。

てんかんは難治性部分てんかんで外科切除が必要とされる患者に使用します。

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保険適応の疾患の検査は、自己負担が3割の方でおよそ30,000円となります。(初診、再診などの違いにより診察料は若干異なりますので、ご了承ください)

保険適応外の疾患の検査は、自由診療の扱いとなり税抜95,000円です。

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FDGのPET検査はほとんどのがんの診療に有効です。がんがあるかどうかの診断だけでなく、治療の効果を確認したり、再発が疑われる場合の診断にも有効です。

FDGの注射をして安静にして撮影するだけで、しかも放射線の量もごくわずかですので、簡単に行える良い検査であるといえます。

ただ胃がん、膀胱がん、前立腺がんなどいくつかのがんは検査の性質上診断が難しいか、あるいは内視鏡など従来の検査のほうが診断能力が優れている場合もあります。

また診断が得意ながんであっても100%の精度という訳ではありません。特に1cm以下の小さながんについては診断能力が低下すると考えられます。

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当院で行っている人間ドックにPET検査をオプション検査として追加することができます。

健診センター(人間ドック)

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PET検査では、ポジトロン核種を標識したくすりを静脈注射しますので、わずかですが放射線被ばくがあります。FDGというくすりを注射してPET検査を 1回受けますと、約3mSv(ミリシーベルト)になります。

同時に行う低線量CT撮影の被ばくは約7mSvです。人が地球上で暮らしていて、大地からの放射線や宇宙線、体内にある放射性元素によって年間被ばくする放射線量(2.4mSv)、胃のX線検査(4mSv)、大腸のX線検査(8mSv)などの被ばく量とほぼ同じレベルです。

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10mSvという量では、急性の放射線障害が起きる可能性はいっさいありません。また、将来のがんの発生の可能性もほとんどありません。

国際放射線防護委員会によれば、この程度の被ばくによって1万人に5人が、将来がんで死亡する可能性があるとされています。

これは、どんなに少ない放射線量でもがんが発生するという仮説に基づいて推定された確率です。また、特定の人が、そうなるという意味ではありません。

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リンク

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文責

PET画像診断センター長 吉田勝哉

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