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HIV感染症を知る(内科:中村 朗

増え続けるHIV感染症

全世界で1日平均1万4000人が新たにHIVに感染しています。 HIV感染はHIV抗体検査でしかわかりません。つまり、発表されている感染者数は「全人口の中の感染者数」ではなく「検査を受けた人の中で感染した人は何人いたか」という数です。
海外での感染より国内での感染が増えています。
男女間での性交渉での感染が増えています。
若い人の感染が増えています。
日本は先進7カ国で唯一エイズ患者が増え続けています。

エイズってどんな病気?

エイズ(後天性免疫不全症候群)はHIV(ヒト免疫不全ウィルス)の感染によりおこります。HIVは体に備わっている外敵に対する抵抗力(免疫力)を低下させます。免疫力が下がると健康なときは簡単に退治できた細菌、ウィルスなどの攻撃に負けてしまい重い肺炎や癌にかかりやすくなります。この状態にいたった場合をエイズと呼びます。HIV感染からエイズ発症までは平均10年にも及ぶ長い期間があります。この間本人が知らなければ他人に感染させてしまう危険性はありますが、生活面では健康なヒトと何ら変わりがないのです。「HIV感染=エイズ」ではありません。
HIVは日常生活では感染しません。HIVはうつりにくいウィルスです。
こんなことではうつりません。咳、握手、共同風呂、トイレの便座、プール、公衆電話、体が接するスポーツ、カラオケマイク、吊革、コインランドリー、鍋をつつく、抱き合う、食器、軽いキス、もちろん蚊にさされてもうつりません。

HIVを予防する

現在の日本では「HIVは性交渉でうつる」といっても過言ではありません。安全な性交渉(「セーファーセックス」といいます)には

  • HIV等についてパートナーとよく話し合う
  • 感染が不明な人との性交渉には必ずコンドームを使う
  • コンドームを正しく使う(破れることやはずれることもある)

今のところHIVを完全に治す薬がないので、「コンドームは救命具」と考えられます。

性交渉で感染するのはなぜ?

感染する量のHIVが存在するのは@血液、A精液、B膣液、C母乳のみです。
これらが粘膜(性器などを含む)や傷ついた皮膚に触れたときのみ感染の危険性が生じます。

ハイリスクな行動が感染をよぶ

海外での行動に注意しましょう。−開放感、誘惑-->不特定の人との性交渉や麻薬−HIV感染日本人男性の18.9%、女性の31.2%が海外で感染しています。

性感染症も増えています

性感染症(クラミジア、淋病、梅毒、性器ヘルペス、トリコモナス症、尖形コンジロームなど)にかかると性器に傷ができ、HIVに感染する危険性が数倍から数十倍高まります。「セーファーセックス」で性感染症も防げます。

HIV感染が心配なときは?

不安を抱えていても仕方ありません。「HIV抗体血液検査」を受けましょう。HIVは治らない病気ですが、良い薬がたくさんできており、早く治療すればエイズの発症を長期おさえられることがわかっています。感染の不安がある場合は「自分を守るため」にも受けることをおすすめします。検査は保健所で無料、匿名で受けられます。旭中央病院でも割引(1800円くらい)、匿名で受けられます。検査日が決まっているので電話で確認しましょう。感染初期は検査で陽性と出ません。3ヶ月くらい経つと確実に結果が出ます。

もしHIVに感染していたら・・・

大丈夫、治療法があります。長くつきあえる病気です。迷わず医師に相談してください。日常生活も変える必要はありません。以下のことだけ注意してください。

  • 定期的に通院する
  • 信頼できる人で病気を打ち明けられる人をつくる
  • 睡眠・栄養を十分とり規則正しい生活をする
  • 他の人にHIVをうつさない(セーファーセックス、献血や臓器提供しない)
  • かみそり、歯ブラシなど血がつく可能性があるものは自分用に
  • パートナーにHIV感染を伝える

差別したってHIVはなくならない

感染者が「身近にいない」のは・・・本当にいないのでしょうか?自分がHIVに感染したと考えてください。・・・無視される、避けられる、噂される、さげすまれる・・・こういった行動が「一緒にいると感染する、不潔な感じがする」などという誤った理由からとられたとしたら、あなたは耐えられますか?感染者は、感染の事実を「あなたには話せない」だけなのです。HIV感染者は生涯、病気と闘っていかなければなりません。周囲に理解者や相談相手がいればどんなにか追いつめられた気持ちから解放されるでしょう。

差別がなくなれば、予防がしやすくなる

差別や偏見をおそれて、多くの人は不安があっても感染を知ろうとしないのです。その間にうつしてしまうケースが増えています。感染を早めに知り、発症予防に努めることを当たり前にできる社会がいち早く望まれます。会社はHIV感染を理由に解雇することはできません。しかし、上司や同僚に知られたくないばかりに1ヶ月数十万円もする医療費を保険を使わず自己負担で払っている人もいるのです。

身近にHIV感染者がいたとき

最初は恐怖感があるかもしれません。しかし、性行為以外では感染しないのです。血が皮膚に付いたぐらいでは感染しません。「自分が感染者だったら・・・」どのように感じるか想像することが大切です。

共に生きる社会のために・・・この病気は増えることはあれ、なくなることはありません。HIVで悩む人を支え共に生きていく社会を作りましょう。
(本文の作成には冊子「ポジティブなわたしからあなたへ」を参考にいたしました)