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耳鼻咽喉科・頭頸部外科

スタッフ

役職 氏名 学会資格等
部長 麻植章弘 日本耳鼻咽喉科学会専門医
難病指定医
主任医長 小林麻里 医学博士
日本耳鼻咽喉科学会専門医
日本耳鼻咽喉科学会補聴器相談医
日本めまい平衡医学会めまい相談医
耳鼻咽喉科専門研修指導医
主任医員 由井亮輔 日本耳鼻咽喉科学会専門医
医員 関口昌孝  
稲生綺与子  
臨時医員 長岡真人 (月曜のみ)
大村和弘 (水曜のみ)第1、3、5
森野常太郎 (金曜のみ)
海老原央 (水曜のみ)第2、4

当科の特色

地域基幹病院、救急病院の一翼を担う診療科として一次から三次救急を担当し、高度先進医療や特殊症例を除いてあらゆる疾患に対応するようにしております。

また、院内各科、近隣の病院、診療所との連携につとめ、一部特殊な疾患に対しては大学病院、がんセンター病院への紹介を積極的に行っております。耳鼻咽喉科学会認定専門医研修施設でもあります。

外来統計(2020年度) *対象疾患、手術件数につきましては、「診療内容」の欄をご覧ください

  新患数 再診数 合計
2020年4月 187 1,007 1,197
5月 254 902 1,156
6月 375 1,233 1,608
7月 309 1,223 1,532
8月 394 1,152 1,454
9月 308 1,188 1,496
10月 345 1,307 1,652
11月 299 1,155 1,454
12月 254 1,287 1,541
2021年1月 264 1,136 1,400
2月 288 1,005 1,293
3月 356 1,325 1,681
3,633 13,920 17,553
月平均 302 1,160 1,462

通年性アレルギー性鼻炎に対する日帰り手術について

当科では通年性アレルギー性鼻炎に対する日帰り手術を行っています。この手術は、「超音波凝固装置」という装置を用いて行います。その他の手術と比べて出血が少なく、表面麻酔のみで行いますので痛みも少なく、手術時間も約15分程度と短時間で終わります。手術後は3~4週間、毎週の通院が必要になりますが、それ以外は負担の少ない手術です。手術費用は現在の保険制度では片側約3000円(3割負担の場合、保険術式:K331-2 下甲介粘膜焼灼術)となっています。

次のような方々は手術が可能です。

(必須と考えられる条件)

  • 通年性アレルギー性鼻炎の方(1年中症状がある)
  • 年齢10歳以上の方(精神的成熟度によっては12歳以上)

(付帯条件と考えられる条件)

  • アレルギーの薬が効かない方
  • アレルギーの薬の副作用が強い方
  • 妊婦・妊娠予定の方
  • 鼻づまりや鼻づまりによる日常生活の支障度(睡眠障害、日中の活動力低下など)が大きな方
  • 鼻ポリープや鼻中隔彎曲のない方
  • 長期間の通院が困難な方、出張が多い方など

上記の条件を満たす方で、手術についてご相談をご希望される方は、是非、当科外来にお越しください。

病床数および入院症例

入院

病床数は約15床です。月曜日、水曜日、金曜日の午後に定時で2~3件、年間300~400例(日本耳鼻咽喉科学会の手術件数算定基準に従うと600~700例)の手術を行っております。その内訳としては慢性副鼻腔炎・鼻中隔彎曲症・副鼻腔嚢胞などの鼻副鼻腔手術が最も多く、アデノイド肥大・口蓋扁桃疾患の手術、声帯ポリープ・ポリープ様声帯などの喉頭疾患の手術、滲出性中耳炎・慢性中耳炎・中耳真珠腫などの中耳疾患の手術、唾液腺、甲状腺、頸部腫瘍などの手術といったものが挙げられます。

また、時として頸部膿瘍や急性喉頭蓋炎・喉頭浮腫に対して緊急手術を施行することもあります。

以上に述べた手術患者さん以外に、急性扁桃炎・扁桃周囲膿瘍・急性乳様突起炎・頸部蜂巣炎などの急性感染症、末梢性顔面神経麻痺・突発性難聴・めまいなどの神経疾患に対する治療目的入院も積極的に行っております。

入院統計(2020年度) *手術件数につきましては、「診療内容」の欄をご覧ください

  入院数
2020年4月 24
5月 24
6月 38
7月 38
8月 42
9月 37
10月 38
11月 44
12月 40
2021年1月 31
2月 32
3月 34
422
月平均 35

慢性副鼻腔炎(ちくのう症)と内視鏡下鼻内手術(ESS)

副鼻腔炎(ちくのう症)

人間の顔面には、鼻の周りに空洞がいくつか存在しています。眉間から眼の上には「前頭洞(ぜんとうどう)」、頬のところには「上顎洞(じょうがくどう)」、両目の中間に位置している「篩骨洞(しこつどう)」、鼻の一番奥に存在する「蝶形洞(ちょうけいどう)」。これらをまとめて副鼻腔といい、いずれの空洞も鼻内と交通しています。

これらの空洞に炎症が生じた状態を「副鼻腔炎」と呼び、鼻閉・嗅覚障害・頭痛・膿性鼻汁といった症状が出現します。炎症が生じると、これらの空洞に膿が溜まるために、以前は「蓄膿症」とも表現されました。風邪に引き続いて細菌感染により副鼻腔に急性の炎症が起きた場合を「急性副鼻腔炎」といい、主に抗生剤や解熱鎮痛薬などを使って治療をします。重症の場合には、鼻腔から上顎洞に針を穿刺して、上顎洞内を直接洗い流す上顎洞洗浄を行う場合もあります。

一方、3ヶ月以上にわたって副鼻腔の炎症が慢性化した病気を「慢性副鼻腔炎」といいます。慢性副鼻腔炎に対する治療には、病気の程度によって異なりますが、内服加療と手術に大きく分かれます。前者では、通常服用する抗生剤の1日量の半分を約3ヶ月使用する方法です。この治療法の出現で慢性副鼻腔炎の薬物療法がかなり向上しました。しかし、慢性副鼻腔炎の症状が強かったり、内服加療をしても改善しない場合には、手術を行います。手術にもいくつか種類がありますが、現在最も一般的に行われているものが、下記に述べる内視鏡下鼻内手術です。

内視鏡下鼻・副鼻腔手術について

1980年後半より鼻副鼻腔疾患に対して内視鏡下鼻・副鼻腔手術(ESS:endoscopic sinus surgery)が導入されるようになりました。内視鏡下鼻・副鼻腔手術は、以前の副鼻腔根治手術とは異なり、鼻孔より内視鏡を使用してTV画面で鼻の状態を見ながら鼻内手術を施行する方法です。患者さんに対して非常に負担が少ない手術として現在一般的に行われており、この方法により、術後の痛みや頬部のしびれといった従来の副鼻腔根治手術で起きやすかった症状は軽減されるようになりました。

具体的には、鼻腔と交通している副鼻腔の自然孔を開大し、排泄機能を向上することで生理的治癒を図るものであります。その利点としては、鼻内を常に内視鏡で明視下におくことで極めて安全にまた正確に手術を施行することができる、という点であります。内視鏡下鼻・副鼻腔手術の適応疾患ですが、上に述べた慢性副鼻腔炎の他に、鼻ポリープ・鼻中隔彎曲症・副鼻腔嚢胞・副鼻腔良性腫瘍・眼窩壁骨折・また止血困難な算出血への止血手術が挙げられます。またマイクロデブリッダー(吸引と削開を同時に行いながら病的組織を除去する手術用高速回転装置)などの周辺機器の開発により、短時間に手術を行うことができるようになりました。

当院では、この内視鏡下鼻・副鼻腔手術を専門的に行っており、以上に述べた疾患を抱える患者さんに積極的により質の高い治療の提供を心がけております。

慢性穿孔性中耳炎と中耳真珠腫

慢性穿孔性中耳炎について

慢性穿孔性中耳炎は、中耳の慢性的な炎症性病変により鼓膜にあな(穿孔)があき続けているもの、あるいは炎症がおさまった後もあながあき続けているものをいいます。主な症状は耳だれ(耳漏)と難聴です。

このような症例で、まずは外来にて耳だれの治療を行います。耳だれ中の細菌を検査し、その結果から効果のある治療(抗菌薬の点耳など)を行います。耳だれがおさまれば、外来にてあな(穿孔)を塞いでみます。あなを塞ぐことで聴力が改善し、全身状態のよい方であれば入院・手術(鼓室形成術)にてあな(穿孔)を塞ぐこともできます。

中耳真珠腫について

中耳真珠腫は中耳周辺に生じる表皮のふくろ(嚢胞、仮性嚢胞)のことを指します。ふくろが徐々に大きくなると、耳の中の骨や神経を侵していき、難聴やめまい、顔面神経麻痺などを起こします。

中耳真珠腫は大きく分けると、こどもに先天的に生じる先天性真珠腫と鼓膜のへこみ(陥凹)から生じる後天性真珠腫に分類されます。後天性真珠腫の鼓膜の陥凹の原因は幼少期の中耳炎の反復や鼻すすり癖が原因と言われています。

このような症例に対して、ふくろを耳の中から観察できれば定期的な外来の処置で進行を防止できることがあります。しかし、この治療では完治しないことが多く、根本的な治療をご希望される方はCTにて真珠腫の拡がりをチェックし、入院して手術(鼓室形成術)を行います。

手術は2回にわけて段階的に行うこともありますので、主治医にご相談ください。また、再発チェックのために術後は定期的な通院がしばらく必要となります。