中央検査科
スタッフ
役職 | 氏名 | 学会資格等 |
---|---|---|
部長 輸血部部長 |
石井昭広 | 日本内科学会認定内科医 日本輸血・細胞治療学会認定医 日本輸血・細胞治療学会認定細胞治療認定管理師 |
はじめに
現代のEvidence-based Medicine(EBM:証拠、根拠に支えられた医学・医療)において、臨床検査はその根幹となる情報を提供する非常に重要な任務を担っており、病気の診断、治療、予防など医療全般に亘って欠かせない必須の部門として位置付けられる。
地域の基幹病院である当院の中央検査科は、緊急検査への対応を含め、常に「精確かつ高品質の臨床検査データ」を提供できるように、検査科認定専門医と臨床検査技師が24時間体制で検査室を稼働している。
検査科の紹介
中央検査科は医師2名、臨床検査技師61名、看護師2名、検査補助員・事務員4名の総勢69名を擁し検体検査部門と生理検査部門の2部門により構成されている。
臨床支援業務にも積極的に参画し、2014年5月からは、近隣医療施設と連携を強化するため生理検査機器の共同利用も開始している。
検体検査部門
当部門は、診療前検査の充実と検体数の増加に対応するため、検査システムは分析機集中監視機能を備えたA&T CLINILAN GL3、日立自動分析装置LABOSPECT008α(2台)全自動化学発光免疫測定装置Alinity(2台)、cobas e801(1台)、生化学モジュールcobas c503と連結したcobas e801(1台)と、多項目血球分析装置XR3000(1台)、XR2000(1台)、XN1000(1台)や尿中有形成分分析装置UF1000iなどを導入し、迅速、精確、高品質のデータを診療現場に提供している。
フローサイトメトリーも日常検査のみでなく、検査科内にある臨床研究エリアおいて医師への研究支援や共同研究に活用している。細菌検査室は、感染対策チーム(ICT)のメンバーとして感染制御に携わり、多剤耐性菌の発生状況などリアルタイムで閲覧できるBD感染対策支援システムを導入し、効果的な感染対策に貢献している。
2020年には、新型コロナウイルス検査として遺伝子検査PCR法、LAMP法、抗原定量検査、抗原迅速検査の対応が可能となった。
輸血検査は、従来の試験管法から全自動輸血検査装置IH・1000に変更したことで効率化・精確性が向上した。
夜間・休日の時間外検査は、24時間応需の救命救急センターに対応するため約80検査項目を、夜勤2人、休日5人体制で運用している。
写真 中央採血室
写真 検体検査部門:ワンフロアーに多機種の自動分析器を配置
生理検査部門
心電図・呼吸機能・脳波検査が、生理機能検査室としてワンフロアー化しており患者さんの利便性を図っている。2019年に生理検査システムを富士フィルムのNEXUSに変更したことで他の画像診断結果を参照しながらの検査が可能となった。
心肺運動負荷試験のリハビリテーション科との共同検査や下肢や頸動脈の血管超音波検査、さらには皮膚科領域の超音波検査が増加しており体制強化が急務となっている。
誘発電位測定装置
臨床支援業務
外来採血業務、内視鏡検査補助、栄養サポートチーム(NST)、感染対策チーム(ICT)、耳鼻科外来の聴力検査(新生児聴力スクリーニングも含む)、予防医学センターの無散瞳眼底検査、術中神経モニタリング、血糖自己測定(SMBG)指導、持続血糖測定 (CGM)導入時の指導とデータ解析、腎臓病教室・糖尿病教室など医療チームの一員として積極的に参画している。
近隣医療施設との検査機器共同利用
近隣医療施設と連携強化するため、カルナコネクトを活用することで当院検査科の生理検査機器の共同利用を開始した。 現在は、超音波検査(UCG、腹部、表在、血管など)、ABI、ホルター心電図を受託し医師の所見を結果に記載し報告している。
今後、地域の諸先生方の意見や要望を参考にして受託項目を見直し、さらに充実させることで、紹介・逆紹介の増加に貢献したいと考えている。
実績
2019年2月に臨床検査の国際規格であるISO15189 認定を取得した。認証を取得したことで品質保証された検査結果を臨床医に提供し、患者さんの診断と治療に貢献している。また、2023年に更新審査を経て認定継続維持している。
「精度保証施設認証」は2年毎の更新を重ね、2024年も継続維持している。 この施設認証は、当院の臨床検査値の標準化と精度保証が評価されたことを示している。
展望
中央検査科のより効率的な運営のために、技師個人の意欲を損なうことなく、必要に応じ流動的な人員配置をスムーズに行えるシステム構築が望まれる。
それぞれの個人の核となる専門分野を持つと同時に、その分野での進歩を目指しつつ、複数の分野をこなせる様なトレーニングとスキルの向上を可能とするシステムが必要とされる。
今後、更に発展拡充しなければならない部門として遺伝子検査部門が考えられる。病因・病態・治療・予後・予防に亘り、殆どすべての診療科で遺伝子関連の検査が施行されていく可能性が想定されるので、基礎的なトレーニングを念頭に置いて準備を始める必要があると思われる。
当院は、地域の基幹病院であると同時に、先端医療の研究なども行う責務を担い、そのためには、臨床検査の国際規格であるISO15189 認定の継続が重要である。認証を継続することで品質保証された検査結果を臨床医に提供し、患者さんの診断と治療に貢献し、さらには、臨床研究や治験にも活用されることで「診療・研究・社会貢献」に大きく役立つことを目指している。
スタッフの意欲と質の向上、蓄積した情報の活用と日本、世界への情報発信を目指すことが、患者さんのための病院の質向上、ひいては、医学への貢献にも連なる一つの大きな目標となる。