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こころの医療センター

  1. 当院における精神科のあゆみ
  2. 地方独立行政法人総合病院国保旭中央病院について
  3. 「こころの医療センター」の特徴について
  4. 施設のご案内

1.当院における精神科のあゆみ

 当院の初代院長であった諸橋芳夫先生は、世界の有名病院を視察された結果、「総合病院には精神科が必要である」との結論に達し、『日本に生まれたる二重の不幸』を克服し、地域精神医療に寄与するため、1965年(昭和40年)に神経精神科を併設しました。
 その志を受け継ぎ、医師、看護師を始め精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士等のスタッフや施設の拡充を図り、最大時には5病棟、250床にデイケアセンター、OTセンター、救急を併設した、日本有数規模の神経精神科に発展しました。
 2002年からは、地域精神医療のさらなる向上をめざし、精神医療改革のためのプロジェクトを多職種で定期的に開催し、国内外の先進医療地域、施設の視察研修等の活動をしてまいりました。それらの活動や研修を通して得た学びをもとに地域移行、病棟のダウンサイジングを進め、2009年には、精神科訪問看護ステーション「旭こころとくらしのケアセンター」を開設し、アウトリーチの機能を向上させました。
 「こころの医療センター」は、現在まで培ってきた経験と知識を結集し、多くの方々の御支援、御協力により2012年に開設されました。多職種チーム医療、医療連携、保健福祉との連携による地域型保健医療「旭モデル」構築の拠点です。今後とも、わが国の地域精神医療の一端を担うべく努力精進していきます。 

2.地方独立行政法人総合病院国保旭中央病院について

基本理念: 「すべては患者さんのために」

私たちは地域の皆さまの健康を守るために、常に研鑽に努め、 医学的にも経済的にも社会的にも適正な模範的医療を提供します。


千葉県東部ならびに茨城県南部を含む診療圏人口90万人の基幹病院として地域医療の中核を担っています。

  • 標榜科目:40科
  • 病 床 数 :989床
  • 職員数(常勤)2,242名(内、医師301名)(2022年4月現在)
  • 1日あたり外来患者数: 2,447人 / 日(2021年度)
  • 年間救急外来患者数: 38,154 人/ 年(2021年度)
  • 平均在院日数:一般13.4日、精神 71.7日(2021年度)

3.「こころの医療センター」の特徴について

 旭中央病院神経精神科は、1965年に開設されて以来、「すべては患者さんのために」をめざし、最善の精神保健医療サービスを提供するために努力してきました。
 そのサービスの中核となるのがこころの医療センターですが、第一の特徴は、子どもからお年寄りまで一貫して診療できることです。外来には、子どものための独立した診察室、待ち合い、プレイルーム等のスペースを設けて、子どもたちが受診しやすいように工夫 しています。
第二の特徴は、保健・医療・福祉との連携を重視し、精神障がいにも 対応した地域包括ケアシステムの一環として、地域に開かれたセンターであることです。相談室を多く設け、ピア スタッフを含めた多職種による地域生活支援を行ないやすいように配慮しています。国内での精神保健医療 機関との連携はもとより、地域精神医療の先進地であるカナダ・バンクーバーやイタリア、海外からの協力を 求めているカンボジア等との国際精神保健協力も行なっています。
第三の特徴は、救急からリハビリテーション、 ハウジングサービス、地域生活支援そして治療抵抗性の精神疾患について、一貫したこころの医療サービスを 提供していることです。救命救急センターと密接に連携し、年間約500名の精神科救急患者さんの診察を 行ない、アメニティに十分配慮した精神科救急急性期入院料病棟を完備しています。そこでは、入院時から医師、看護師、精神保健福祉士、作業療法士、公認心理師がチーム医療を行い、センターの2階フロアーにあるリハビリテーション部門と連携して、救急、急性期から社会復帰まで一貫した治療を行なっています。
また、院外にある精神科訪問看護ステーション「旭こころとくらしのケアセンター」のみならず、センター内にある多職種チームによるコミュニティメンタルヘルスチームが活動し、精神科訪問看護、包括的地域生活支援(ACT)を行い、安心して地域で生活ができるようにアウトリーチサービスを行なっています。
また、治療抵抗性統合失調症の治療薬であるクロザピンを積極的に使用し、内科等と密接に連携しながら、安心して治療を受けられる体制を整備しています。
そして、第四の特徴は、多職種によるリエゾンチーム、認知症ケアチーム、家族支援チーム等が活動し、精神疾患と身体疾患を併せ持った患者さんの診断治療を包括的に行なえるようになっていることです。
さて、精神科医療は世界的にも重要性がますます増大し、我が国でも医療法の五疾病に加わっています。旭中央病院こころの医療センターでは、精神保健医療福祉に関する様々な情報の発信や患者参加型医療の実践により、こころの病に対する偏見や差別を打破するように努めています。そして、世界標準の地域精神医療を実践することを目指します。

4.施設のご案内

外来

 神経精神科外来では、院内各部署、「旭こころとくらしのケアセンター」、そして地域の方々とも連携して、一貫したこころの医療の中核となるべく努めています。
 外来には一般7室、児童2室の診察室に加え、相談ルーム2室、救急用診察室兼処置室、プレイルーム2室、7つの相談室を設置しました。相談室の数を増やすことで、多職種による地域生活支援を行ないやすいように配慮したものです。
 待合室は一般待合、児童待合、会計待合の3つに分けられ、それぞれにパンフレットを設置しました。
 待合室の奥には第2受付を設け、看護師が患者さんの相談を受けたり、患者さんの状態の確認を行なっています。児童精神外来は、独立した診察室、処置室、待合、プレイルーム等を設けて児童の患者さんが受診しやすいよう配慮しました。受付前の喫茶ラウンジは、作業療法、処置室、デイケアの患者様の治療の一環として運営されています。
   「クリニカルパス」として神経精神科外来地域生活支援パスやクロザリル外来パスを導入し、外来通院中の患者さんの地域生活定着に努めています。


  • 外来受付

  • ラウンジ

  • 一般待合室

  • 救急処置室

  • 児童待合室

  • 児童プレイルーム

3病棟4階・5階(閉鎖病棟)を合せて定床50床の精神科救急急性期入院

3病棟4階: 精神科救急急性期医療入院料病棟(閉鎖病棟)

 精神科急性期から回復期までの成人の入院と急性期の児童の入院を対象としていて、個室24室(保護室エリアを含む)、4床室4室で構成されています。
 急性期フロアーと回復期フロアーに分かれ、各フロアーにナース・ステーション、面談室、デイルーム、浴室を配置しています。各病室には、ロッカーの他、ナースコール、酸素・吸引の中央パイピング、洗面所、トイレを設置しました。
 急性期のフロアーは、個室と保護室の2つのエリアで構成されていて、保護室エリアにもデイコーナーを配置しています。保護室エリアは、隔離室:6室とPICU(主に身体合併症の治療を行う):4室、個室エリアは14室を配置しました。
 入院早期より多職種でのカンファレンスや、神経精神科退院調整・支援パスや入院患者を対象とした病棟看護師の退院前訪問や退院後訪問を多職種で協働し、早期退院に向け、一人ひとりの患者さんに合わせたサービスの
提供に努めています。


  • 白を基調とした明るい病棟

  • 個室

  • ラウンジ
3病棟5階:回復期・児童閉鎖病棟

*休棟中

リハビリテーション部門


  • 回復について学ぶ心理教育プログラム

  • 就労に役立つパソコンもあり利用することが出来る

  • ジュニアグループ・ルーム

  • 運動系プログラム(青空さんぽ)

 センター長を務める医師以外に、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、公認心理師、ピアスタッフ、指導補助事務員などのコメディカルスタッフが配置され、多職種による意見交換のもと、患者さんへのケースマネジメントを細やかに行っています。
 また、家族や地域のサポーターとも密な連携をはかり、地域に根ざした生活を送りながら患者さんそれぞれの「希望する生活」により近づいていくことを目指しています。

入院リハビリテーション(OT:作業療法)

 入院早期から開始し、患者さんの希望や回復に合わせたリラクゼーション、スポーツ、パソコン、料理、心理教育などの活動を実施しています。グループ活動以外にも、患者さんのニーズに合わせた個別の対応をしています。また退院に向けて多職種でチームを組み、評価や検討をしながら外出練習や退院前訪問などを行い、早期退院につなげています。併せて、退院後の生活を考え、外来リハビリテーションへの移行を行なっています。

外来リハビリテーション(デイケア・ショートケア)

 40歳という年齢で2つのグループに分け、それぞれのグループで別個のリハビリテーションプログラムを実施していて、年代の課題に合わせた治療を提供しています。
 特色的なリハビリテーションプログラムとして、就職や自立へのチャレンジをサポートする就労支援プログラム、心の病からの回復を考え、病気について学ぶ心理教育プログラムなどがあります。また、児童思春期や青年期の方を対象としたグループワークを行ない、幅広い年齢層に合わせたプログラムを実施しています。地域の基幹病院としての役割、時代と患者さんのニーズに対応したプログラムを実施し、より多くの方々に利用していただけるように取り組んでいます。

ピアスタッフについて

当科では平成29年6月よりピアスタッフ2名が勤務しています。
ピアスタッフとは、精神疾患を経験したピア(仲間、同僚、同等のものの意)が、自分の人生経験を活かして職員として働き、利用者のリカバリー(回復)に寄与する人です。ピアスタッフは、利用者の気持ちに寄り添い、深く共感することができ、自身のリカバリーストーリーを語ることで、利用者の混乱する感情を理解しやすくすることができ、利用者に希望を与えることができます。

現在、ピアスタッフはリハビリテーション部門においてグループワークに参加したり、地域への訪問活動に同行しています。他の治療者では話せなかった事、聞けなかったことを引き出し、受け止めることによって治療に大きく貢献しています。

地域生活支援室・臨床心理室

 地域生活支援室・臨床心理室にはコミュニティメンタルヘルスチームを含む精神保健福祉士、公認心理師、作業療法士、看護師が配属されています。
 精神保健福祉士は各種生活上の相談、利用できる制度や施設といった地域生活に役立つ情報の提供など、 本人や家族の支援を行なっています(受診、入院、地域移行支援、地域連携と切れ目ない継続した関わりを多職種で協力しながら行なっています)。
 公認心理師は、本人や家族の心理的な困難や問題への解決に向けた支援をしています。主な業務としては、子どもから大人までの幅広い年代を対象にしたカウンセリング、プレイセラピー、集団療法、心理査定です。科内の 病棟、外来、リハビリテーション部門だけでなく、他科へのリエゾンチームや緩和ケアチームなどにも参加して、様々な領域で多職種と協働しながら臨床に携わっています。

コミュニティメンタルヘルスチーム(Community Mental Health Team)

 コミュニティメンタルヘルスチーム(以下CMHT)は、「できる限り入院を防止しつつ、適切な支援を行うアウトリーチ(訪問支援)の充実を目指す」という国の方針もふまえ、旭中央病院「こころの医療センター」の病床削減を受け、地域移行、地域定着、再入院防止の為の地域生活支援システムの一つとして2012年に始まったプログラムです。
  CMHTは、「包括型地域生活支援プログラム(以下ACT)」を目指し、「重い精神障がいを抱える方であっても、住みなれた地域で安心して暮らし、その人が望む生活を実現する」という理念の下、長期入院や頻回入院を余儀なくされていた人々が地域で生活を続けていけるように医師、看護師、作業療法士、精神保健福祉士による多職種チームで早期退院を目指した支援、地域生活を支える支援、個別就労支援等のアウトリーチサービスを提供しています。
  また、他法人が運営する住居サービスであるグループホーム(以下GH)との連携体制を重視しています。GHを運営する事業所と入居者に関する情報交換などの連絡会議を開催し、定期訪問や緊急時の対応等、医療・福祉間での相互補完的支援を行うことで、大勢の重い精神障がいをもつ方がGHで地域生活を送っています。 こうした活動により、旭中央病院の精神科訪問看護指導件数は、4,211件(2023年度)となっています。今後も、地域の関係機関と相補的に機能して、本人、家族のリカバリーを応援していけるような地域精神保健医療福祉システムの構築を目指して支援していきます。

薬剤局

 当院では患者さんの薬物療法における有効性・安全性の向上に資するため、各病棟に専任の薬剤師が配置されていて、服薬指導などを通じて、患者さんが薬物治療を安心して受けられるように支援しています。 神経精神科においては厳格な管理・運用を必要とする向精神薬(クロザリルやコンサータ等)の効果・副作用・相互作用のモニタリングをはじめ、管理・支援業務を行っています。また、精神科医療チームの一員として、医師や多職種と連携し患者さんに適切な薬物医療を提供できるように日々努めています。

旭こころとくらしのケアセンター


  • 外観

  • 面談室

  • 受付

 旭こころとくらしのケアセンター(以下AKK)は、旭中央病院神経精神科の救急・急性期医療の機能強化に向けて、2009年10月精神科特化型ステーションを飯岡診療所2階に開設されました。AKKの特徴は、地域連携を図り、地域に住む精神障害者に対して訪問看護サービスを展開し、地域生活の実現と安定化を図ることを目的としていることです。職員構成は看護師6名、事務員2名です。キャッチメントエリアは原則、主に旭市となっています。保険は医療保険のみで自立支援医療利用者を対象としています。24時間対応する体制をとっていて、旭中央病院とはITでの情報共有ができるため、利用者に速やかに対応することが可能です。