2015年度

2015年度救命救急センター診療実績について

旭中央病院救命救急センター長 橋功

 2015年度(2015年4月1日―2016年3月31日)の救命救急センター診療実績がまとまりましたのでお知らせします。

受診数・入院数等

 昨年度の受診数は48,285人で、前年度より2.3%の増加です。受診数は近年一貫して減少傾向でしたが、増加に転じました。 入院数は6,554人で、前年度より5.6%の増加です。 受診数に対する入院患者の比率は14.3%(前年度13.9%)で、上昇傾向が続いています。

   
  2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度
受診数 59,905
(-3.0%)
51,437
(-14.0%)
48,855
(-5.0%)
47,217
(-3.4%)
48,285
(+2.3%)
入院数 6,309
(+8.0%)
6,095
(-3.4%)
6,145
(+0.8%)
6,554
(+6.7%)
6,920
(+5.6%)
初診数 - - - -
交通外傷 1,287
(-35.0%)
1,180
(-9.3%)
1,172
(-0.9%)
1,235
(+5.4%)
1,112
(-10%)

救急車の件数及びダイバージョン(お断り)件数

 救急車の件数は6,713件で前年度より1.6%の減少です。また救急車のお断りは545件と前年より20%以上の増加、応需率も93.9%から92.6%まで低下してしまいました。一昨年度は病院を挙げて受け入れの向上に取り組み、受け入れの向上を達成できましたが、救急入院数の増加、病院全体の病床稼動率上昇に伴いベッドコントロールが困難となり、お断りが増えてしまっています。

救急車 の件数

 
  2011年度 2012年度2013年度 2014年度 2015年度
救急車 6,420
(-4.5)
6,031
(-6.1%)
5,992
(-0.6%)
6,824
(+13.9%)
6,713
(-1.6%)

救急車の件数及びダイバージョン(お断り)件数

 
2012年度2013年度 2014年度 2015年度
500 729 452 545
92.3% 89.2% 93.9% 92.6%

診療科別受診数と入院数

 多くの診療科で増加傾向です。特に小児科がここ数年間一貫して減少し続けていましたが、増加に転じました。
地域での小児科診療体制に大きな変化はなく、インフルエンザを含む感染症の流行が小児患者増加の原因と推定しています。

診断科 受診数 前 年 入院数 前 年
内科
17,805
17,533
3,787
3,504
小児科
10,859
10,162
881
710
新生児
27
50
27
49
精神科
648
569
71
83
皮膚科
1,890
1,824
25
16
外科
1,582
1,504
677
630
整形外科
4,463
4,430
344
373
脳外科
2,379
2,319
513
540
泌尿器科
1,569
1,548
169
154
心臓外科
31
23
11
9
眼科
893
903
17
6
耳鼻科
2,167
2,242
56
105
歯口科
867
965
11
8
産婦人科
904
1,039
163
197
透析科
236
237
114
117
麻酔科
6
3
0
0
放射線科
0
0
0
0
形成外科
1,959
1,866
54
55
リハビリ科
0
0
0
0

患者の地域別比率

 茨城県南部や山武地域の患者は近年減少傾向でしたが、わずかですが増加に転じています。

  11年度 12年度 13年度 14年度 15年度
旭市
33.8
35.1
35.8
36.5
36.6
香取
15.0
15.0
14.9
15.6
15.2
匝瑳
10.6
10.4
10.3
11.3
10.9
東金・山武
12.0
11.7
11.8
10.5
10.9
鹿嶋・神栖
11.6
11.3
10.3
9.2
9.1
銚子
12.4
12.1
12.5
12.4
13.0
その他
4.6
4.4
4.4
4.6
4.3

年齢構成

 小児の減少、80代以上の増加が続いています。高齢者の入院率が高いことも変わりません。

  受診数 比率(%) 入院数 比率(%) 年代別入院率(%)
〜10歳

11,733

24.3

879

12.7

7.5

10歳代

3,601

7.5

137

2.0

3.8

20歳代

3,490

7.2

182

2.6

5.2

30歳代

3,831

7.9

262

3.8

6.8

40歳代

3,540

7.3

385

5.6

10.9

50歳代

3,852

8.0

570

8.2

14.8

60歳代

5,891

12.2

1,089

15.7

18.5

70歳代

6,042

12.5

1,449

20.9

24.0

80歳代

5,127

10.6

1,569

22.7

30.6

90歳以上

1,178

2.4

398

5.8

33.8

合計
48,285
6,920

救命救急センターの課題

 当院救命救急センターはこれまで地域の要請で、軽症から重症まで、患者を選ぶことなく全ての重症度の患者を受け入れてきました。 しかし近年、厚労省の進める病床機能分化の推進により、急性期病院はより高度な、より重症度の高い患者に特化した診療が求められております。 当院の救急外来においては、多くの入院患者、救急車を受け入れ、軽症患者数が減少するのが、地域の医療資源の有効活用という点においても , 時代の流れに合わせるという点においても望ましい方向の変化です。

 現実には年々高齢化が進むにつれて、患者さんの重症度はどうしても上がります。 周辺病院の機能低下にも伴って、当院に救急患者は一極集中し、救急入院数は一貫して上昇が続いています。 一方、入院した患者については治療により安定しても、速やかに地域へお返しするシステムが十分に整備されず、慢性的に満床状態が続いています。

 病院全体での懸命のベッド確保の努力を続けてはおりますが、救急車お断りの件数もかなり増加してしまい、受け入れた患者についても入院できない患者が救急外来に翌日まで滞在するようなこともしばしば発生しています。

 選定療養費徴収などの影響もあり、直接来院患者は近年減少傾向にありましたが、昨年わずかですが増加しました。近年減少傾向であった小児も増加しました。 今後も当院以外の香取・海匝地域の医療資源については改善の見込みが乏しく、軽症患者の時間外診療を受け入れる役割についても、変わらず続いていきそうです。

 当院救命救急センターが今後も地域のセーフティーネットの役割を果たすためには、当院だけの努力ではもはや困難です。 近隣医療機関や行政、住民の皆様との協力体制が診療機能維持のために必要だと考えております。 関係する皆様方と、ご相談させて頂きながら、救急医療が必要な患者さんを常に受け入れられるようシステムの改善に取り組んでまいりますので、これからもご協力よろしくお願いいたします。