2012年度

2012年度救命救急センター診療実績について

旭中央病院救命救急センター長伊良部徳次

2012年度(2012年4月1日―2013年3月31日)の救命救急センター診療実績がまとまりましたのでお知らせします。

受診数・入院数等

昨年度の受診数は51,437人で前年度より14.0%減少しました。入院数は6,095人で、前年度より3.4%減少しました。受診数に対する入院患者の比率(入院率)は11.8%(前年度10.5%)で軽症者の減少傾向が顕著です。入院率は2009年度に初めて10%を切って減少傾向が続きましたが増加に転じています。
8月より軽症者に対する選定療養費を導入した結果、検査や処置を要しない軽症者が減った結果入院率が高くなりました。しかし医師負担軽減を目的に、山武地域や茨城県南部からの脳卒中受入れ制限等もあって入院数も減少しています。
交通外傷は1,180人で昨年に引き続き大幅減少で過去最低数です。震災の影響の可能性があります。

  08年度 09年度 10年度 11年度 12年度
受診数 61,671
(-1.4%)
65,313
(+5.9%)
61,699
(-5.3%)
59,905
(-3.0%)
51,437
(-14.0%)
入院数 6,179
(-2.1%)
6,237
(+0.9%)
5,845
(-6.3%)
6,309
(+8.0%)
6,095
(-3.4%)
初診数 22,898
(-0.5%)
24,405
(+6.6%)
23,748
(-2.7%)
-
交通外傷 1,593
(-6.1%)
1,766
(+10.9%)
1,995
(+11.0%)
1,287
(-35.0%)
1,180
(-9.3%)

紹介数・救急車等

前年度比で、紹介患者数は-4.7%、救急車は-6.1%でした。全受診患者のうち紹介患者の占める比率は4.9%に過ぎません。救急車搬送件数は2010年度に比較して-10.3%です。2011年度の減少は当院のベッド事情の影響が大きいですが、2012年度の減少の一部は山武地区、茨城南部からの脳卒中受入れ制限等が影響しているものと推測されます。

 
  08年度 09年度 10年度 11年度12年度
紹介患者 3,086
(-1.8%)
3,206
(+3.9%)
2,984
(-7.0%)
2,634
(-12.0)
2,511
(-4.7%)
救急車 6,085
(+5.0%)
6,331
(+4.0%)
6,721
(+6.2%)
6,420
(-4.5)
6,031
(-6.1%)

診療科別受診数と入院数

2012年度は受診数は歯科以外は減少、入院も産婦人科、外科、精神科の3科のみが増加、他は減少しています。
内科35.5%、小児科24.6%、その2診療科で60.1%に達しています。
当院は小児救急拠点病院に指定されているために、小児救急患者数は高い水準で推移しており、12年度小児科入院数は808人でした。
表に示すごとく、全ての救急患者をいつでも受け入れる当院救命救急センターは全ての診療科の協力なしには運営が成り立たないことは明白です(カッコ内は前年実績)。

診断科 受診数 入院数
内科 18,267(20,752) 3,197(3,302)
小児科 12,679(16,135) 808(884)
新生児 54(30) 54(30)
精神科 665(702) 103(93)
皮膚科 1,869(2,140) 21(20)
外科 1,472(1,658) 554(538)
整形外科 4,682(5,187) 274(295)
脳外科 2,320(2,672) 471(496)
泌尿器科 1,439(1,754) 147(153)
心臓外科 27(32) 5(3)
眼科 1,103(1,242) 11(15)
耳鼻科 2,315(2,845) 41(56)
歯口科 933(820) 15(10)
産婦人科 1,220(1,277) 225(170)
透析科 289(393) 138(202)
麻酔科 10(14) 0(0)
放射線科 0(0) 0(0)
形成外科 2,093(2,252) 31(42)
リハビリ科 0(0) 0(0)
合計 51,437(59,905) 6,095(6,309)

患者の地域別比率

地域別では、地元旭市は35.1%(前年度33.8%)でした。茨城県南部は11.3%(前年度11.6%)でした。香取が前年と同じで他は微減、その分旭が増加しています。

  08年度 09年度 10年度 11年度 12年度
旭市 33.9 33.9 34.0 33.8 35.1
香取 15.0 15.2 14.4 15.0 15.0
匝瑳 10.5 10.4 10.5 10.6 10.4
東金・山武 11.5 11.6 12.2 12.0 11.7
鹿嶋・神栖 12.1 12.1 11.8 11.6 11.3
銚子 11.8 11.9 12.2 12.4 12.1
その他 5.2 4.9 4.9 4.6 4.4

年齢構成

年齢構成を見ると、受診数に占める比率は10歳未満が27.2%、次いで70歳代が11.4%を占めます。入院数に占める比率は10歳未満は05年度14.3%、06年度17.8%、07年度20.1%、08年度18.0%、09年度16.9%、10年度12.4%、11年度14.2%、12年度13.7%でした。60歳代―80歳代で05年度51%、06年度52.5%、07年度52.5%、08年度53.4%、09年度54.7%、10年度56.6%、11年度56.9%、12年度57.1%でした。入院患者は若年者の比率は徐々に低下して高齢者の比率が増加しています。
受診した患者さんのうちで入院した割合(入院率)は年代とともに上昇し、70歳代で22.2%、80歳代で28.0%、90歳以上では31.1%の方が入院しています。
激しい高齢化の波が押し寄せているのが見て取れます。カッコ内は前年度実績です。

 

  受診数 比率(%) 入院数 比率(%) 年代別入院率(%)
〜10歳 14,034 27.2(29.4) 836 13.7(14.2) 6.0(5.1)
10歳代 3,919 7.6(7.7) 139 2.2(2.5) 3.5(3.3)
20歳代 4,195 8.2(8.2) 207 3.4(3.1) 4.9(3.9)
30歳代 4,597 8.9(8.8) 278 4.6(4.2) 6.0(7.5)
40歳代 3,634 7.1(6.7) 319 5.2(5.4) 8.8(8.5)
50歳代 4,316 8.4(8.1) 564 9.3(9.1) 13.1(11.8)
60歳代 5,717 11.1(10.5) 977 16.0(16.8) 17.1(16.8)
70歳代 5,876 11.4(10.6) 1,309 21.4(20.5) 22.2(20.3)
80歳代 4.293 8.3(8.2) 1,200 19.7(19.6) 28.0(25.1)
90歳以上 855 1.7(1.6) 266 4.4(4.4) 31.1(28.5)

地域医療再生プログラムと旭中央病院地域医療支援センター

2011年度から国・県による地域医療再生プログラムが香取・海匝地域医療圏でスタートしました。当院を核とした地域医療再生支援事業が千葉大学等と協力しながら進められています。
千葉大学から3人の常勤医が当院に設置された地域医療支援センター経由で赴任し、1名は地域の病院へ派遣されました。当院から派遣される医師1名と合わせて2名が地域の病院で活躍することになっています。また非常勤医師2名も千葉大学から派遣されています。
地域医療センターは事務局機能、施設、設備ともに揃い、またシミュレーションセンターも稼動しています。シミュレーションセンターでは各種のバーチャル実習が出来るので医師、看護師が活用しています。近隣施設の介護職員の学習会等にも積極的に利用されて高い評価を得ています。

特例病床と救急

当地域の医療再生のために厚生労働省は当院に特例病床として33床(救急10、がん21、循環器2)の増設を許可しました。33床は前記3疾病ごとにベッドが特定されています。そのベッドに該当する患者が入院しているかモニターしていますが適正性は95%前後で推移しており概ね適切に運用されていることが確認されています。特例病床33床は一般病床760床の4.3%に相当します。特例病床によってベッドにある程度余裕が確保されました。救命救急センターB病棟(いわゆるオーバーナイト病床)の円滑運用に大きく貢献しています。

救命救急センターの課題

自治体病院は地域の中核病院として機能してきました。しかしながらその中核を担ってきた300床規模の病院が次々と危機にさらされています。「300床クライシス」です。その「300床クライシス」は今や救命救急センターを併設する500床規模の病院に拡大して「500床クライシス」の様相を呈してきました。
当院においても2012年度は救急救命科医師が大学への復帰等で減員となりました。幸いなことに非常勤ながら当院を継続して支えて頂いています。また千葉大学の支援も得ることが出来ています。ですがまだ内科医の補充が充分でないこともあり、一部地域の脳卒中患者の受入れ制限を継続せざるを得ない状況です。2012年3月から当院出身の救急医が週に2日間応援してくれています。また4月に1名、5月に1名の常勤医が着任しました。今後も人材確保に向けて努力を傾けて参る所存です。地域住民、救急隊の皆さんに一部ご不便をおかけしていますが、ご理解・ご協力を頂きながら救急医療の砦再構築に取り組む決意です。